顎関節症の原因としては、上下の歯の噛み合わせ異常によって起こる場合が多いと言われています。しかし、明確な原因は分かっておらず「多因子説」とされています。多因子とは、一つの原因により引き起こされるわけではなく、いくつもの因子が多く集まることにより、症状を引き起こすというものです。
その因子の一つとされるものに「姿勢」があげられます。腰や背中や脚と口腔には、身体の距離的にも何ら関係がないように思えますが、姿勢が悪いことが顎関節症を発症させ、さらには悪化させるのです。

まずは、ブロックになった積木を思い浮かべてみてください。その積木を上へ上へと積み重ねるとします。最初のうちは少々歪んだとしても、落ちることはないでしょう。しかし高くなればなるほど、小さな歪みが原因となって遂には崩れ落ちてしまいます。これと同じ関係性が、「顎関節症」と「姿勢」にも言えるのです。
姿勢を改善するポイントは、積木の例と同様に「左右のバランス」です。例えば、重い鞄を毎日片方の肩だけにかけて持ち歩いていませんか。また、スマホやパソコンを見るときに、頬杖をつきながら眺めていませんか。顎の関節は、頸椎を通り「背骨」へとつながっています。重い鞄の肩掛けや頬杖は、長時間背骨を無理に曲げてしまう行為です。その行為が日々積み重なれば自ずと背骨はバランスを保てなくなり、どこかに歪みが出てしまいます。それが顎に出てれば、顎関節症という症状につながることでしょう。

次に、背骨の土台で身体の中心となる「骨盤」です。しっかりとした骨盤を歪めることは難しいとお思いになるかもしれませんが、日常生活の中には骨盤を歪める原因がたくさん潜んでいます。座るとつい脚を組んでしまいがちですが、いつも同じ組方をしていると、骨盤につながる股関節を歪めます。また、「猫背」の姿勢で座ることは骨盤を後ろへ傾け背骨を丸める行為になり、ヒールを履いてバストやヒップを高く保とうとする「反り腰」の姿勢は、骨盤を前傾させてしまいます。

姿勢の悪さが顎関節症を引き起こす可能性があることは、よくお分かりいただけたと思いますが、逆に言えば噛み合わせの悪さが、骨・筋肉・関節など全身に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。「姿勢」と「噛み合わせ」には相互関係があることを理解したうえで、顎関節症の治療中であるなら、これらの行為をなるべく控え、左右バランスと体の軸を意識した姿勢を保ちながら、日々の生活を過ごされることをおすすめします。

顎関節症になってしまっても、これをよい契機として、体幹や姿勢を含む全身を左右バランス良く整えて、二度と顎関節症を引き起こさない身体を作ることが重要でしょう。