(イラスト提供:PettyconによるPixabayからの画像)

 

歯ぎしりにはいくつかの治療法がありますが、その中の一つが薬物療法です。これは、歯ぎしりの原因となる部分に薬で働きかけて歯ぎしりを抑えようというものです。
歯ぎしりの薬物療法に使用される代表的なものに筋弛緩剤があります。歯ぎしりをしたり奥歯を噛み締めたりするときに働く筋肉は「咬筋」といっていわゆるエラの部分にありますが、この咬筋の力を弱めることで歯ぎしりを抑えようというのです。

歯ぎしりの治療に使用される筋弛緩剤にはジアゼパムやメトカルバモールがあります。ジアゼパムは本来抗不安薬・抗けいれん薬というのが主な特徴でてんかんの治療によく用いられますが、筋弛緩作用もあることから歯ぎしり治療にも使われています。メトカルバモールは骨格筋の痙攣や緊張をほぐすのが主な効能で、肩こり・腰痛や筋肉痛などの治療にも使われるものです。
どちらも歯ぎしりに有効な薬品ですが、依存症や離脱症状といった副作用もあるため長期連用ができません。あくまで短期間の使用に限られています。

そのほかには高血圧の治療薬であるクロニジンが歯ぎしりを60%軽減させるとされています。こちらは血圧を下げる作用があるため、めまいや起立性低血圧といった副作用が起きる可能性があり、元々血圧が低めの人には適しません。ベンゾジアゼピン系の抗てんかん薬であるクロナゼパムも筋弛緩作用があり歯ぎしりに有効ですが、やはり依存症や離脱症状が出る恐れがあります。これらの薬品は医師の指示に従って適正に使用しなくてはなりません。

近年注目されているのがボトックス治療です。ボトックスには筋肉の動きを抑制する働きがあり、表情筋によってできる表情ジワを改善するなど主に美容面での利用がよく知られていますが、咬筋の動きを抑えることで歯ぎしりの治療にもつながるとして取り入れる歯科医院も出てきています。
保険適用外であるため費用が高額になること、効果に個人差があることなどの問題点もありますが、一つの方法として検討してみる価値はあるでしょう。

漢方薬の分野では「抑肝散」が歯ぎしりの治療に使われています。西洋医学で用いる薬品が咬筋にピンポイントで作用するのに対し、こちらは全身の緊張を和らげるというのが大きな特徴です。自律神経に働きかけて高ぶった神経を鎮め、不眠症や神経症を改善するというのが主な働きですが、大人の歯ぎしりはストレスからくることも多いため改善効果が期待できます。歯ぎしりだけでなく睡眠の質が向上するというのも大きなメリットです。