歯のイラスト
(イラスト提供:Mudassar IqbalによるPixabayからの画像)

 

顎関節症の大きな要因は、歯列接触癖(TCH)や歯ぎしりだと言われています。歯列接触癖(TCH)とは、上下の歯をずっと触れ合わせているクセのことです。上下の歯が触れ合うのは、食事のときや会話するときだけです。唇を閉じていても上下の歯は触れ合わさってはおらず、舌が口蓋に吸盤のようにくっついているのが、正しい口腔内の状態となります。上下の歯が触れている1日の平均時間は17.5分という調査結果があるくらい、触れ合っているのは普通ではない状態なのです。

歯列接触癖(TCH)は基本的に日中現れる症状ですが、無意識の内に長い時間噛み続けてしまう人は珍しくありません。噛み続けると神経や筋肉を疲労させ、歯や顎関節へ負担をかけます。最悪のケースでは歯を失ってしまうこともあるほどです。
その上、交感神経が緊張した状態となるので、血管が細くなり柔軟性が失われていきます。血管がもろくなると、様々な病気につながるリスクが高まります。

歯ぎしりも歯列接触癖(TCH)の一種ですが、日中に歯が接触している人がするものとは限りません。むしろ日中は正常な口腔状態で過ごしており、家族から睡眠中に歯ぎしりをしていることを指摘されたり、歯科で歯が磨り減っていることを指摘されたりして、初めて気付く人が多いです。歯ぎしりは歯列接触癖(TCH)よりも過剰な圧力が歯や歯茎、顎関節にかかり、肩こりや頭痛に悩まされる人も少数ではありません。

歯ぎしりは細かく見ると、3種類に分けることができます。代表的なのが上下の歯をギリギリと強く擦り合わせる「グライディング」です。擦っていく内に、歯のエナメル質や象牙質が損傷を受ける可能性が高いので、最も注意したい症状と言えるでしょう。
グライディングと違って自覚症状のある人は少ないのが、強く食いしばる「クレンチング」と歯をカチカチ鳴らす「タッピング」です。日中も無意識に行っている人もいます。

顎関節症は、顎関節の機能が歯列接触癖(TCH)や歯ぎしり、ストレスなどの要因が一定以上積み重なって耐え切れなくなったときに発症すると考えられています。そのため、顎関節症の予防には歯列接触癖(TCH)や歯ぎしりを改善したり治療したりすることが有効です。
睡眠中の歯ぎしりは無意識の内に行ってしまうことなので、治療は容易ではありません。その点、日中に行われる歯列接触癖(TCH)は意識次第で改善しやすい症状です。
歯科で推奨されている改善方法は、目に付きやすい場所に「歯を離す」と書いたメモなどを貼っておく方法です。単純な方法ではあるものの、常に意識できるので効果が期待できます。ただ、あまりにも強く歯を意識して過ごすとストレスが溜まり悪影響が出る心配があるため、思いつめないことが大切でしょう。